Exhibition
展覧会情報


大角ユウタ「フェリス・カトゥス」
会期:2025年10月3日(金)〜 2025年10月14日(火)12:00〜18:00
作家:大角ユウタ

会期:2025年10月3日(金)〜10月14日(火)
時間:12:00〜18:00
展覧会について:
大角ユウタは、細いテープを壁面に貼り合わせることで、物語性を帯びたイメージを浮かび上がらせる。そこには文化的・歴史的背景とともに、大角自身の個人史が織り混ぜられており、現代を反映した壮大な叙事詩を空間に創出する。グラフィティやストリートアートの手法の一種とも捉えられるが、質量を持ったサイトスペシフィックな線の様相は、洞窟壁画まで遡及できる描くことの原点や、地平を頼りに広がり続ける蔦の生命力を想起させる。
本展覧会は、大角が愛猫の生前過ごしていた眼差しを追跡し、「猫が見た夢」へ分け入ろうとする試みを通じて、異なる種が持つ知覚について思索、またそれを今までと変わりない地続きの生活として捉え直そうとするものである。「猫が見た夢」が単に行動や本能の再現であるとする説があるが、本展覧会は人間固有の概念や関係を媒介して構成されている。大角のテープによる線描は、ガレージの空間と不可分な関係の中で形作られ、時間の経過とともに剥がれ落ちていく。その一過性は、目が覚めると共に薄れながらも、鑑賞者の記憶の根底に残る感覚と重なりを帯びる。
ユクスキュルは、生物ごとが主体的に構築する知覚世界によって構成される「環世界」があると主張した。それならある言説、庭で遊ぶ猫は三百年前にいた猫と同一だと考える世界もまた人間の眼差しから見たものにすぎない。人が想う「猫が見た夢」には、猫自身の夢は映し出されているのだろうか。本展覧会はその問いを通じて、私たちの知覚が抱える世界の一面性や知覚世界の拡張について思考する。猫は大角が共に過ごした存在でありながら、イエネコの学名である「フェリス・カトゥス」として普遍化され、個人的な記憶を超えて私たちの視座へと開かれていく。
キュレーター 谷口雄基
作家について:
大角ユウタ
2001年滋賀県生まれ。2024年瓜生山学園京都芸術大学総合造形コース卒業。現在は京都を拠点に活動。「表現の根本的な役割」 や「価値観の形骸化」といったテーマを軸に、文化的、歴史的背景と個人史を織り交ぜて絵画やインスタレーションを制作。主な展覧会に、「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025」(京都国立博物館、 京都、2025)、「ART RHIZOME KYOTO」(京都市役所本庁舎、京都、2024)「Line of Dance Reversal」 (Gallery マロニエ、京都、 2023)など。