Artist

作家紹介

Gallery Garage Gallery Garage
北村侑紀佳 北村侑紀佳

北村侑紀佳

Yukika Kitamura

美術とは作者のある行為の痕跡が定着した結果であるという考えをもとに「不在の中の存在」をテーマに制作。 制作主体としての“私”の在処を隠匿することで普遍的な「存在」を考察・表現する。
主な表現メディアは絵画、写真、インスタレーション、詩など。

「見えないけれど存在するものを」

戦場に赴く恋人の影の輪郭をなぞったことが絵画の起源だとプリニウスは云った。
絵画をはじめとして、ある行為の痕跡として定着される作品は常に事後であり不在である。
とすれば、鑑賞とは不在の中の存在を見つめることかもしれない。
「あなた」は誰で、なぜここにいるのだろうか。
不在の中の存在を見つめるとき、そこにはいない誰かの気配が実在性を伴って立ち上がってくる。
私は、「あなた」を匿名化・複数化することによって、フラットな存在として宙吊りのまま保留する。
その存在は、あなたにとっての「あなた」として現れるか。
(北村侑紀佳)

“見えないけれど存在するものを描き続ける北村侑紀佳の挑戦”

北村が描く線は、数学や哲学、天文学によって計算されたもので、 自分の作為による線ではない。
北村侑紀佳の作品は、思いがけない方法で作られている。
「あなたがここにいてほしい」という言葉をAIに音声認識させ、その形を自分が下絵なしで描いていく。音声はこの曲線によって、「不在の中の存在」として、画面に定着させることができると考えてのことだ。10歳のときにカメラをもらって、今を定着させることができるのに感動したところから、絵画なら何ができるかと考え、現在に至っている。最初にタイトルを決めるが、それはAIとの交換日記のようなやり取りの中から生まれる。制作上の主体である自分を曖昧にして、芸術の中にある不変の存在を再考しようというのが北村の試みの源泉。音声だけでなく、惑星の軌道など「見えないけれども存在するもの」を描く北村の挑戦は刺激的だ。

経歴

2000年 滋賀県生まれ
2019年 京都芸術高等学校 絵画表現コース 卒業
2022年 公益財団法人クマ財団 クリエイター支援採用(6期生)
2023年 成安造形大学 芸術学部 美術領域 卒業
2024年 嵯峨美術大学 大学院 芸術研究科 在学中

一覧へ戻る